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Yoshi Suzuki

Yoshikazu Suzuki --> Ph.D student, School of Journalism and Mass Communication, University of Minnesota. Research interest: social media marketing, commons-based peer production. More about me: http://bit.ly/suzuk040
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鈴木 良和。ミネソタ大学大学院ジャーナリズム・マスコミュニケーション校の博士学生。研究テーマはソーシャルメディアマーケティングとピアプロダクション。どちらかというと個人的メモな、ネタ・アイデアブログです。

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August 12th, 10:14pm 0 comments

人はなんでボランティアするの?

今朝 イケダハヤト@IHayato)くんとコーヒーを飲みながらソーシャルメディア界隈の話を色々させてもらったんだけど、そのときに触れた話題。意外にニーズありそうなので投稿します。最初はつまらなく感じるかもしれませんが、ソーシャルメディアにかなり根強く関係している話なので、辛抱してもらえると嬉しいです。


さて、じゃあまずはそもそもの話から。
ボランティアとは何ぞや、と。

Snyder & Omoto (2008, p. 2) によると、ボランティアにはそれを定義する6つの要素があります。

First, the actions of volunteers must be ... performed on the basis of the actor’s free will without bonds of obligation or coercion... Second, the act of volunteering to provide services for others or to further a cause involves some amount of deliberation or decision making; they are not reflexive acts of assistance or “emergency helping.” Third, volunteer activities must be delivered over a period of time ... Fourth, the decision to volunteer is based entirely on the person’s own goals without expectation of reward or punishment ... Fifth, volunteering involves serving people or causes who desire help... Sixth, volunteerism is performed on behalf of people or causes, and commonly through agencies or organizations.

ボランティア活動は…
1)自由意志によって行われなければならない
2)目的を持った能動的な、定められたコーズのための活動でなければならない
3)一定期間のコミットメントでなければならない
4)行動の動機が報酬の獲得、または懲罰の回避であってはならない
5)助けを求めている人のための行動でなければならない
6)エージェンシーや団体を仲介している

 

上記六つの要素は、要するにボランティア活動とそれ以外の行動を区別するためのモノ。 つまり、(1)強制労働も、(2)目的もなくコーズを満たさない物も、(3)突発的な助け(例:人命救助)も、(4)仕事も、(5)余計なお世話もボランティア活動ではないですよ、ってこと。(6)に関してはちょっと「?」な部分もあって、実はこの論文が書かれたアメリカでは、文化的にボランティア活動は主に教会などの団体がエージェンシーとして機能してボランティアを斡旋してたりするのが背景にあります。つまり、西洋文化(キリスト教圏)の外では当てはまらないかもしれない、という可能性があります。

では、ボランティアを定義したところで、次はその動機の話。
これもまた六つあって、いくつもの実験を通じて立証されています。
Clary, et al. (1998, p. 1517-1519) によると、

1)Values = 価値観
2)Understanding = 新しい知識、体験を得る欲求
3)Social = 社会的動機
4)Career = キャリアップ
5)Protective = 罪悪感、劣等感の回避
6)Enhancement = 達成感、成功体験

の六つがボランティア活動を行う動機として記されています。 ちなみに、この六つはそれぞれ単独で作用するのではなく、全てがちょっとずつ行動を起こしています。 この六つの要素はそれぞれ5つの質問で構成されていて、 計30問のアンケートを Volunteer Functions Index といいます。 これは、その人がどれだけボランティア活動に関わりやすいかを診断する上で使われるアンケートです。

 

じゃあ、上からいっこずつ、ざっくりと説明してみましょう。

(1)は、そのまんま。『困っている人が居たら助けるべき』という価値観。
(2)も、そのまんま。普段の生活では体験できない事、もしくは得られない知識をボランティアを通じて得たい欲求。
(3)は、知り合い、友達、大切な人がボランティアを大事に思っているから、もしくは既存の人間関係に好印象を与えたい欲求 
(4)は、キャリアップにつながる体験、知識を得たい欲求
(5)は、ボランティアに関わらないことによって生じる罪悪感は自己嫌悪を回避したい思考 
(6)は、ボランティアをすることによってフィールグッドしたい、自己を満たしたい欲求 

 

さて、なんでこれが大事なのか。


ボランティアの定義を思い出してもらいたいのですが、『自分の時間と労力を使い、助けを必要としてる人のためにコミットメントを行う』ことは ソーシャルメディアを通じて今とても活発に行われている事だからです。 テクノロジーによって人と人とが繋がりやすくなった昨今、なんらかの共通のコーズや使命をもった人達が集まりやすくなっています。 しかし、集まっただけでは何も起きない。 アクションを起こすためにはどうすれば良いのか。 この六つの動機を知っておくだけで、大分世界が違って見えてくると思います。

インセンティブを行動体系のなかに埋め込む事が出来るんです。

例えば、@IHayatoくんや、先日お会いした @takuyaaaaa くんが関わっているエイズ孤児のためのNPO活動、PLAS@Rui_Plas)を(勝手に)例にとってみましょう。 アフリカでエイズ孤児の修学サポートや学校建設、農業事業を行う彼らは近々募金活動を行うらしいのですが、明確なクエスチョンとして 

『どうやって見ず知らずの人達からお金を集めるのか』 


という課題があります。
何もないままこの問題に取りかかろうとすると、すぐに手詰まりになってしまうのですが、 もう一度六つの動機を思い出して、それをCPのコアターゲットと照らし合わせてみましょう。

(1)ターゲットが元々もっている価値観に訴求するべきか
(2)アフリカのエイズ孤児を助けるという、普段では体験できないセンセーションを訴求するべきか
(3)『みんなやっている』、バンドワゴン的な訴求をするべきか
(4)これをやると、良い仕事がもらえる事を訴求すべきか
(5)罪悪感を書き立てるべきか、
(6)今まで味わった事のない達成感を醸成するべきか

などと、様々な角度(インセンティブ)からメッセージの発信方法ができることが明確になった思います。 当然、どれか一つをえらぶ必要はなく、組み合わせる事も可能です。 全ては、六つの動機とコアターゲット分析に立脚した、メッセージのディトリビューション戦略です。『動機』から思考を練ることにより、『誰に』『どうやって』『なにを』伝えるのがベストなのかがクリアになってきます。

ってことで、ちょっと長くなってしまいましたが、 ボランティア活動には大きく六つの動機があり、 それを知ることによって特に弱い繋がりをもつ人達が多く集うソーシャルメディア上で、 いかにして大きな影響力を持つアクションを起こすか、ストラテジーが練りやすくなると言えます。

ちなみに、このエントリーの隠れテーマとして、 『経験則に基づいたノウハウもいいけど、みんなもっとアカデミックの世界にも目を向けましょうよ(研究費ください)』っていうのがあります(笑)

 

最後に、このエントリーを書くきっかけをくれたイケダハヤトくんに感謝!

またコーヒーいこねー


■参考文献■
1. Clary, E. G., Snyder, M., Ridge, R. D., Copeland, J. T., Stukas, A. A., Haugen, J. A., & Miene, P. K. (1998). Understanding and assessing the motivations of volunteers: A functional approach. Journal of Personality and Social Psychology, 74, 1516-1530.
2. Snyder, M., & A, Omoto. 2008. Volunteerism: Social Issues Perspectives and Social Policy Implications. Social Issues and Policy Review, 2(1), 1-36.

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